彼女は僕の物

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カチ カチ カチ カチ 待合室の時計が静かな空間の中に鳴り響く。 ドアが開き、その中から医者の声が聞こえた。 「中岡さんどうぞ」 その声に従い、私は診察室に入った。 椅子に座り、医者が口を開いた。 「お子さんの事でお話しがあります」 私は唾を飲んだ。重く、乾いた唾は、私の喉を焼かした。 「翔太君は、幼い頃から孤独に耐えてきました。お父さんはいなくなり、あなたは翔太君をほったらかし…ついに限界が来た彼は、自分で自分の友達を作ってしまったと考えられます。彼の目には恐らく…彼だけの友達や恋人が見えています。」 医者はそう言った。しかし、私は罪悪感すら沸かなかった。私は悪く無い。翔太があんなになったのも、全ては父親のせいだ。 私はそう心に言い聞かせた。 「彼の空想は彼だけの物であり、消すも生かすも彼次第…」 もはや医者の言葉など聞こえてはいなかった。 私のせいじゃ無い…私のせいじゃ…無いんだ。 「治す方法はありません。彼自身が孤独を乗り越えなければいけません。あなたの力が必要なんですよ?彼を救えるのは、あなたの温もりだけです。」 私のせいじゃ…無い…
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