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「おい、見てみろよ! また落ちこぼれのゲイグが剣を振ってるぞ」
見るからに柄の悪い少年は取り巻きに向かって、やはり汚物を発見したが如く言い吐いた。
良に不らざる者共は、例に漏れること無く筋骨隆々である。
彼らは落ちこぼれと呼ばれたゲイグの眼前へ立ち、小石を拾うかの如く剣を掴み上げた。
「ブンブンうっせーんだよ! このカス野郎!」
ゲイグは容易く剣を投げ捨てられる。 さらに突き立てられた拳は、胃ごと背骨を潰したかのようだった。
四人身ほどあろうかと言う距離を飛び、ブロックの壁にて運動エネルギーをゼロへと変えられる。
全身が秒二回ほど、不定期にビクつく。これがなるほど、痙攣と言うものだろう。
構うこと無く、追い討ちをかけるべく輩共は歩みを進める。
だが薄れゆく意識の中、目の前に現れたのは幼馴染みのエリスだった。 両手を広げ、まるでゲイグを庇うかのように。
(俺を……守るつもりなのか?)
すると筋骨隆々な不良は口元を吊り上げ、賤しく笑った。
その手には魔から呼び寄せし雷が黒く弾けていた。 其をくらうと、一瞬で意識は手放さなければならなくなるだろう。
意識を失った女の末路は……。
言わずもがなだ。
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