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そして漸く離れた唇。まだ舌の先には感触が残っている。
余裕がないのは私の方なのに、目の前の大樹に気付かれないように振舞った。
「……恥ずかしく、なった?」
「ならない。でも……今すぐ、寝室に連れて行きたくなった。」
「……。」
どこまでも、とことん甘い大樹の言葉に思わず頷きそうになっていると、ドンっという音と共に、きっちりと閉まっていたはずのリビングの扉が、まるでコントのように勢いよく開かれた。
そして勿論、そこには……
「見つかっちゃったあ!!」
そう言いながら、ニヤニヤと私と大樹を交互に見てくる瑠里ちゃん。
「俺、写メ撮ったしー!!」
「それは悪趣味っすよ、月島さん。」
同じようにニヤニヤしながら、携帯の画面を見せる月島君と、見せられる大槻君。
3人とも酔っているせいか、全く悪びれる様子もない。
感情を隠すのが上手な大樹は平然……というか、呆気に取られていたけれど。
「ちょっと、あんたら……早く寝てよっ!!」
「すいませーん!!」
ポーカーフェイスの苦手な私は、恥ずかしさに耐え切れずに、顔を真っ赤にして逃げ惑う3人を追い掛け回す。
それもまた、愛情の証。
仕事中は頼り甲斐があり、プライベートでは馬鹿で御茶目な仲間たち。
そんな私の、愛すべき愉快な仲間たちと過ごす、最高に楽しい日曜日の夜。
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