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そして10年後の俺と紗智も、可児君が語るような関係になってしまうのかなって。
たまに考えてしまったりするけれど、その未来図は簡単に掻き消されてしまう。
毎日15時ごろに来る、一通のメールによって。
『今日の夕飯は、肉じゃがとポテトサラダと、芋と茸のバター炒めだよ。』
紗智からの夕食の献立メール。
それにしても今日は何故かジャガイモだらけ。
スーパーで、イモの特売でもしていたのだろうか…?
今も俺のために、慣れない料理を一生懸命作っている姿を想像すると、すぐにでも帰って抱きしめてやりたいって思う。
こんなことばかり考えてしまうから、可児君に冷やかされるのも無理はない。
ああ、早く紗智に会いたい…。
紗智の笑顔まで、あと3時間。
「可児君、お疲れ様。」
それから17時過ぎに終業。
隣の席では、まだパソコンと戦っている可児君。
明日がクライアントとの打ち合わせで、今日は泊まり込みになりそうだと嘆いていた。
「お疲れ様です。今日も奥さんとイチャイチャするんですか?全く羨ましい…」
「お疲れ。」
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