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「ごめん……琴の相手してたら、一緒に寝ちゃった。」
「うん。それよりさ……」
そして俺は目の前の紗智にキスをする。
その瞬間に赤く染まる顔。
もう何度も重ねている唇に、いつまで経っても初々しい反応を見せる。
それが計算じゃなくて天然なところが、本当に参ってしまう今日この頃。
「お前……そろそろ、慣れろよ。」
「だって大樹にキスされると、何も考えられなくなる……。」
そして微かに潤ませた瞳が俺を見上げている。
ああ……堪らない。
その顔とその潤んだ目と、その言葉は心を打ちぬく凶器だ。
「俺のことしか考えなくていいよ。」
僅かに開いていた口に、強引に深いキスをする。
そんな俺の行動に、羞恥に堪えながら懸命に応えてくれる姿が、いつも愛しくて仕方ない。
少し甘いムードが漂うと、その気になり始めた紗智を制御するのも俺の楽しみ。
「駄目。先に、御飯にしよ?」
「……うん。」
物欲しそうな顔をして、俺を映し出す大きな黒目。
本当は今すぐにでも抱きたいけれど、自制心が効くうちは我慢。
先に起き上がってキッチンへと向かうと、その後ろを雛鳥のようにくっついてくる。
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