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「ごめんね……。少しだけ頑張ってね。」
「……うん。悪いな。」
そして何とかたどり着いたベッドに、大樹を寝かせる。
枕を整えて、布団をしっかりと肩の上まで掛け直した。
「今日は、仕事休みなよ?」
そう窘めながら、大樹の額に冷えピタを貼って、用意した体温計を手渡す。
「でも…今日は…プレゼンが……」
「駄目っ!! 自分の体調とプレゼンと、どっちが大切なの!?」
「……プレゼン。」
何でそうなるの……?
大樹の悪いところは、責任感が強すぎるところ。
そして自分のことより、周りのことを考えすぎるところ。
大樹が仕事を大事に思う気持ちは、理解しているつもりだけれども……
「違うもん。私にとっては大樹の方が、大切だもん……。」
熱のせいか私を見上げる茶色の瞳は、いつもよりも数段に艶っぽい。
そして少しだけ頼りないようにも見える。
「だから、今日は大人しくしてくれる?」
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