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そう言いながら意気揚々とキッチンでお茶を入れる用意をしていると、リビングの方から声が聞こえてきた。
「これって、いくつくらいの頃?」
「へっ?」
視線を彼の方へ向けると、指差す先にはフォトフレームに飾ってあった昔の写真があった。
父と母と、幼いころの私が3人で撮った写真だ。
その言葉に、記憶をたどって思い返してみる。
「多分、小学生くらいかな。」
お湯を沸かす準備を終えて、そう言いながら大樹の傍に寄る。
すると、その写真と私を何度も見比べて、複雑なひとことを告げた。
「顔、変わってないね。」
「……。」
それは童顔ってこと?
子供っぽいってこと?
微妙な反応をしていると、それが思惑通りだったのか、しきりに悪戯な目を見せ始める。
「他に、昔の写真とかないの?」
「えっ?」
「俺らが出逢う前の写真、見たいな。」
大樹の甘い囁きには勝てなくて、今は自分の物置となった部屋から2冊のアルバムを持ってきた。
赤ちゃんの頃から中学生の頃までを収めたアルバムだった。
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