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「赤ちゃん今、お腹蹴った!!」
「マジで!?」
「うん!! うわー、何か感動した……。」
その余韻に浸っていると、何故だか雅人さんの手が伸びてくる。
それに気づいて、その動きを止めたのは、もちろん大樹。
「……その手は、何?」
「いやあ……伯父さんとして、その赤ちゃんの訴えを無視出来ないというか……。」
「雅兄には、訴えていないから。」
その理解し難い言い訳に、大樹も呆れた顔をしていた。
それから1時間もすると、鍋を綺麗に完食した雅人さんは、掛けてあった上着を取った。
「ご馳走様でしたっ!!」
「もう帰るんですか?」
「うん、明日早いからねー。仕事の商談で札幌まで行くの。」
「そうなんですか? 忙しいのに、わざわざすいません。」
こう見えて雅人さんは、お義父さんの後を継ぐ、立派な次期社長だ。
同じように立ち上がって何度も御礼を言っていると、片付けを始めていた大樹が小さく呟いた。
「っていうか、片付けるのが面倒なんだよな、雅兄は。」
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