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っていうか、そんな有り得ない冗談、本気にしていたの?
今、大樹が振り向くことを許してくれないのは、それが明らかなヤキモチで。
そんな自分が、恥ずかしいと思ったのだろう。
「どうだろ……わかんないな。」
そんなこと、今この瞬間に空から隕石が降ってくる以上に、有り得ないことなのに。
曖昧な返事で意地悪を言ってみたのは、小さな悪戯心。
「わからないの?」
「……。」
けれども私の悪戯が上手くいった試しなんて一度もなくて、それを阻むのは、それ以上に意地悪な大樹の甘い言葉と仕種。
首筋にかかっていた髪を長い指で掻き分け、露になったうなじに優しく口付けをする。
味わうように何度も吸い付けられて、私の体温は上昇するばかり。
「……駄目、まだちゃんと片付け終わってないよ?」
そう言いながらも、彼の抱擁と甘いキスには抗うことは出来ない。
「赤ちゃんが生まれても、邪険にしない?」
「しないよっ。」
「じゃあ、その証拠を見せて?」
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