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たまには、昔話を…
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今日は父の月命日で、毎月のことながら実家に帰省をする。
休みの大樹も一緒に、いつものようにかすみ草を花屋で調達してきた。
午後を少し過ぎた頃に家には着いたけれど、母は夕方まで着付け教室があるので、誰もいない家に上り込む。
「その辺に、適当に座っていて。」
そう大樹に話しかけながら、空気を入れ替えようと窓を開けようとすると、その手の上に大きな手が重なる。
「っていうか、紗智こそ座っておきなよ。そろそろ昼寝の時間だろ?」
「昼寝って……いつもしているわけじゃないもん。」
産休の間、どうも身体が鈍ってきたようで、この時間くらいになると眠くなる。
大樹が傍にいるときでも平気で居眠りしてしまうものだから、すっかり昼寝キャラが定着してしまったのだ。
「お茶でもいれようか?」
窓を開けて春の日差しに向かって、大きく背伸びをしている大樹に問いかける。
「うん。じゃあ……お願い。」
「任せて!」
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