親馬鹿な大人たち

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親馬鹿な大人たち

. 今日は、彩夏と彰浩が家に遊びにやってきた。 といっても本当の目的は、皐月ちゃんの使っていた赤ちゃんグッツを、譲ってくれるというところにあった。 産まれたばかりの頃に使っていたものは必要ないからと、景気よくわざわざ家まで持ってきてくれたのだ。 勿論、先輩ママとして、訊きたいことも沢山あった。 彰浩に抱っこされている皐月ちゃんは、お昼寝の時間なのか、とても眠たそうにぐずっていた。 彩夏は持ってきた紙袋をふたつ、私に手渡してくれた。 「うわー、本当に助かる。ありがとうね。」 「いいえ。役に立てて光栄よ。」 そう言いながら、ふたりをリビングに迎え入れた。この家に友達を呼ぶのは、初めてかもしれない。 「ここって、新居君のマンションなんでしょ?」 物珍しげに部屋を見渡しながら、彩夏は言う。 「そうなの。しかも分譲だよ?」 大学進学のお祝いに、今は亡き父方のお祖父さんに買って貰ったというマンション。 それはお金持ちの世界の話で、当時家賃4万円の安アパートに住んでいた私には無縁の話だ。 すると皐月ちゃんを何とか寝かしつけて、彰浩が会話に参加してくる。 .
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