2人が本棚に入れています
本棚に追加
「お父さん…。どうして?どうして…僕から逃げるの?」
少年は右腕をナイフのように尖らせ、血を流しながら父のもとへと歩みをよせる。
父は表情を強張らせながら、少年から一歩、また一歩と距離をとる。
「ちっ、近寄るな。化け物ー!」
父は背中を壁にぶつけ、手の高さにあった瓶を投げる。
少年は避けず、瓶を頭にくらう。
しかし、表情を全く変えずまた、
「お父さん…。どうして?どうして…僕から逃げるの?」
と、同じ言葉を繰り返す。
少年の腕から流れる血。
それを間近で見て、父は更に叫び声をあげる。
「お前は…実の母親をその手で殺しーッ」
少年は尖った右腕を、父の懐に深く何度も、繰り返し刺しながら呟いた。
「殺してあげるんだから、黙って…刺されろよ」
小さく呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!