始まりの朝

2/6
前へ
/114ページ
次へ
まだ朝と呼ぶには暗すぎる時間一人の少年が目を覚ました。 筋肉質というわけではないが引き締まった体、まだ眠そうな深い緑色の瞳、特徴的な銀色の髪、大人と子供の間ほどの年齢だろうか。 少年は眠そうに欠伸をするといままで寝ていたベッドから体を起こし、慣れた手つきでランプに明かりをともす。 小汚い部屋だな、と毎日暮らしているにもかかわらず溜め息をつく。 服はたたんであるし洗い物も完璧だ。しかし、この春から間借りしているこの六畳ほどの部屋がぼろすぎるだけなのだ。 まあ借りられただけ運がいいと自分に言い聞かせ適当に引っ掛けていたキャメルのPコートをはおり外に出た。 なんてことはない一日が始まるはずだった。明日も昨日と同じ一日が続くと信じていた。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加