The Title!!

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「――つまり魔法とは、本来、先天的な才能のことを指し、《超能力者》、《魔法使い》などがこれに当たる。……」  教卓に立ち、男性教師が教科書を読み上げているが、実際にその文を目で追っている者は少ない。男子の大半は眠たげに目を擦るか、既に夢の中だ。女子はといえば、一人の例外もなく、先の教師を見詰めている。 「―――以上が魔法の原理である。この原理に基づいて開発されたのが、一般に言う、魔術だ。ただし、魔術は魔法に比べ、効果が落ちる上、種類も豊富でない。更には、魔法程ではないが、ある種の才能を必要とし、魔術を使う者を《魔法使い》と区別して、《魔術師》と呼ぶ。かくいう私も、《魔術師》の称号を持っている」  そう言って、教師は手の平の上に小さな炎を出して見せた。  女子たちの間から感動の声とそれとは異なる意味の呻き声にも似た声が上がった。  教師は炎を浮かべた右手を高く挙げ、それから炎を握り潰した。途端、風船が割れたような破裂音が鳴り、寝ていた男子の意識を無理矢理覚醒させた。 「丁度、称号の話が出てきたから、簡単に説明しておこうか」  女子が寝ていた男子を嘲笑う中、教師は笑みを浮かべ、手を下ろすと、再び教科書を開いた。 「『称号』とは、この世界を創った創世神が、実力を持つものに与える、所謂第二の名前のようなものだ。生まれながらにして持つ者や、生きていく中で手に入れる者もいる。先生は後者だな。称号を持つ者のことを『称号者』、または『称号持ち』という。称号は持つ者に特別な力を与える。つまり、称号は持つ者に由来し、持つ者もまた、称号に影響される訳だ。……っと、ここまで分からない奴いるかー?」  教師が聞くと、主に男子から沢山の手が上がった。それを見た教師は、笑みを溢した。 「まぁ、ここは二年の範囲だから、頑張って覚えなくても良いんだけどな」  途端、男子からブーイングが起こった。 「ふぅ……。じゃあ、眠気覚ましも兼ねて、次は体術にするか」  教師が何気無く呟くと、それを聞いていた男女両方から歓声が上がった。 「全く……。しょうがない奴等だな」  収拾の着かなくなった教室で、教師は微笑まし気に笑った。しかし、その目は何かを期待するように一人の生徒のみを見詰めていた。
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