一章 出逢い

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最大のチャンスを逃してしまった。 後悔の念を抱く暇もなく、相手の攻撃にさらされる。 このまま、やられてしまうのだろうか? 俺は、ギンを守れないのか? 守れないまま死ぬのか? 「そんなの嫌だ……」 思わずそう呟く。 「ハルトさん」 急に、ギンに声をかけられた。 ふと横を見ると、強い意志を秘めた表情を浮かべるギンがいる。 「強く想ってください。 それがあなたの力になります」 「強く、想う……?」 「はい」 「俺は……」 ギンを守りたい。 そうだ、俺は負けられないんだ。 「俺は、諦めない! 絶対に!!」 突然、機体の出力があがる。 これまでとは段違いの機動性である。 「これならいけるっ」 間合いを一気に詰めて剣を振るう。 敵機のライフルを握る腕が切り落とされた。 相手は逆の手でビーム・ソードを握り、こちらを落とそうとする。 「まだ続けるのかよっ!」 「ハルトさん、あれは無人機です! やっちゃってください!」 ギンが叫ぶ。 無意識に俺はその言葉を受け入れた。 「せやぁ!」 剣を横一文字に振るう。 敵機は真っ二つになり、墜落していった。 「やった、のか」 「はい。やりましたよ、ハルトさん」 俺もギンも無事でいる。 今はそれが非常に嬉しかった。
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