一章 出逢い

4/11
前へ
/14ページ
次へ
そんなことを笑顔で言われても困る。 が、このまま何て呼べばいいかもわからないよりはマシかもしれない。 少しの間考える。 「ギンっていうのはどうだ」 「ギン、ですか?」 「昔の言葉だよ。 俺の名前も昔の言葉なんだ」 「どうゆう意味なんですか?」 「えーと、君の髪の色は銀色だろ。その色のことを昔、俺が住んでいる場所ではそう言ったらしいんだ」 なんだかこっぱずかしくなってくる。 なんで俺が女の名前をつけなければならないのか…… 「私の、髪の色……」 そう言って彼女は自分の髪を軽く梳く。 サラサラしていて綺麗な髪だと思う。 「いい名前だと思います。私、気に入りました」 「それはよかった」 「私の名前はギンです。よろしくお願いします、ハルトさん」 「ああ、よろしく」 なにをよろしくしたのかはわからないが、互いに頭を下げる。 頭を上げで彼女、ギンを見ると、月明かりに青みがかった銀色の髪が照らされていて、綺麗だなと、また思った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加