一章 出逢い

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そのとき爆発音が聞こえてきた。 同時にサイレンの音が聞こえる。 「な、なんだ」 向こうの空を見るとどうやら戦闘が起きているようだ。 一つの勢力は軍だろうが、もう一つは……? 「とにかく、避難しないと」 ギンの手を引いてシェルターに逃げようとする。 だが、目の前で大きな衝撃が起きた。 軍の「人型」が墜落して来たのである。 「ちっ、こんなんじゃ身動きがとれない」 なんとかギンだけでも守らないと。 俺だってこんな所で死にたくはないが、自分の目の前で女性が死ぬような不甲斐ないマネはしたくない。 ……やるしかないか。 方向を変え、ギンが乗っていた「人型」のコクピットに二人で乗り込む。 多少狭いが文句は言えない。 「これ、どうやって動かすんだ?」 起動スイッチを探すが見当たらない。 「戦うんですか……?」 ギンは少し悲しそうに呟く。 その声は、それまでの彼女のものとは違い、表情も物憂げだった。 「あなたは、何のために戦うんですか?」 「俺は……」 声が詰まる。 何のために……? 不甲斐ないから? 死にたくないから? 違う。 それは言い訳だ。 照れ隠しと言ってもいい。 「俺は守りたい。 ギン、君を」 それが純粋な嘘偽りない想い。 ただ、それだけだ。
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