狂喜のピストルとイノセントデビル

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 …………ああ、なんてことだ。全て理解した。  僕は電波達の大規模サバイバルゲームに巻き込まれてしまったんだ。あの『メメント・モリの契約』をした瞬間から。  ――などと思考を放棄して勝手に納得しかけたが、ゲームなんて楽しい話で終わらせられない真が頭に纏わり付く。  言うまでもなく法律違反な代物を持っていた外人。白昼堂々使用していた男。被弾して傷を負った〝はず〟の少女。  これらは皆、目を逸らしてはいけない現実なのだ。  ならば語られる荒唐無稽な話も全て――現実。少なくとも、そう考えるべき。  とすれば、疑問点は山のようにあるわけだが。 「……悪魔?」  傍にいるちっこい中学生を指差す。ちっこい中学生は己を指差し、クエスチョンマークを除けて僕の言葉を反復した。 「悪魔」  続いてそのまま今度は僕を差して言う。 「咎人」  同じく自分で自分を差してみて、確認。 「……咎人?」  黙して為された力強い頷きが、全てを肯定した。  改めて事実を整理してみる。  咎人は他の咎人を殺さなくてはいけない。でないと殺される。それを覚悟の上で、咎人は咎人になる。ピカレスクは悪魔。僕を咎人にした張本人。そして悪魔と咎人は一心同体。つまりこれから僕はこいつと二人で愉快痛快血みどろ劇場を始めなければ――否。始まってしまった物語を終わらせなければならない。  ……はあ。なるほどね。事態はだいたい掴めた。 「ふっざけんなよ!!」  吐いた怒りが、この狭い路地裏ではよく響く。
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