狂喜のピストルとイノセントデビル

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 なんなんだこいつは? どうして僕はこんなお子様に説教を受けている? 「そうだとしても、戦闘経験ゼロの僕があんな、自己紹介で『人を殺すのが大好きです』とか軽々言っちゃいそうなやつに勝てる理由にはならないし、勝てない戦いに挑むほど僕は〝無謀〟に惚れてもいない」  あいつの目は――そういう目だった。『死』とは縁遠いと思っていた僕にさえ容易くそれを想起させる、明確な殺意の衣を着た狩人だった。そいつを相手取って僕にできることなど――なにひとつないさ。 「案ずるな。なにもあやつばかりが戦いに秀でておるわけではない」  案ずるなもなにも、こっちには捻くれ者とバカ。ろくに戦力にならないであろう二人しかいないわけだが。  ピカレスクは続ける。 「仮にやつを“銃に関する知識及び興味が一流、一級である”としよう。それはつまりやつの個性。ならば同様に、零。御主にもあるであろう――御主だけの一流が」  ……ない、こともない。
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