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「だがそれはこんな殺し合いとは関係ないところでの個性だ。今はまったく役に立たない」
答える。すると目の前の少女はニヤリと笑い、おもむろに自身の懐を漁り出す。そして取り出したのは、妖艶な雰囲気の濃い紫と赤を混ぜ込んだような色をしている石をあしらった首飾りだった。
「それは?」
「救世主の象徴であり、力の源。悪魔によってそれぞれ持っている石は違うが、これは『ガーネット』じゃな」
「ガーネット、ねぇ……」
「艶やかなこの石が暗示するのは『真実』。曇りなき眼で偽りを払い、世界に『真』をたたきつけてやればいい。そのために、このガーネットは御主の力を開花させる」
「力?」
「うむ。百聞は一見にしかずじゃな。よっと」
言って、背伸びをするピカレスク。しかしそれだけでは届かないと悟ったのか、ジャンプ。
「とおっ!」
パチン、と。銀のチェーンを僕の首の後ろで留めた。
瞬間、同色の強い輝きを放つガーネット。そして、
「ッ――!?」
怒涛の如く、僕の頭に膨大な量の〝情報〟が流れ込んできた。
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