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――それがなんであるかと問われれば、それは真実だった。
――それがなんであるかと問われれば、それは真理だった。
それは一瞬で、それは連続で、それは圧倒的で、だからこそ。
――――僕は今、全てを理解した。
「……なるほど、な。わかったよピカレスク」
「おお、そうか! して、御主の“力”はなんなのじゃ?」
たしかにそのことについても把握した。なるほどたしかに、これは僕らしい――僕だけの個性だ。でも。
「僕がわかったのは――」
今一番言いたいのは。
「ピカレスク……」
「ほえ?」
「――この大バカ悪魔がああぁぁああ!!」
「ほわあぁあ!?」
強引に半回転させてから忌々しいツインテールを握り、華奢な背中に靴底を宛がい、そこに全体重と怒りを乗せる。
「痛い! 零! 腰がッ! 痛いィイ!!」
「この石はどう考えても契約直後に渡すものだろうがッ!」
「勝手に席を立ったのは御主のほうぎゃあ!!」
「こんなことになるなら立たなかったに決まってる! 語るべきことも語らず、渡すべきものも渡さず……薄汚い存在だな悪魔ってやつは」
「ごめんなさい」
「許さない」
「許して?」
「嫌だ」
「許してください」
「断る」
「許せ」
「なぜ上から目線だ」
脳天チョップを一撃。ピカレスクが頭を押さえて倒れ、もがく。
「くそ……」
幼い唸り声をバックミュージックに、僕は必死に考えていた。
――――殺されないための策を。
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