狂喜のピストルとイノセントデビル

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 そう。僕はただ話をしたかった。平和的に。文化的に。 「争う気がないだぁ? テメェもオレと同じ咎人だろうが。他のやつをぶっ殺してでも叶えたい願いがあるんだろうがよ」 「まずその認識からして間違っている。そうじゃないんだ。僕は騙されたんだよ、あの悪魔に。こんな戦いになるなんて知らなかったし、おまえを殺して叶えたい願いもない」 「残念。そっちになくてもこっちにはあんだ。『世界中の人間を銃で撃ち合う関係にする』っつう、崇高で最高な願いがよ」  絵に描いたような悪役である。 「そのためにはオレ以外の咎人には全員消えてもらわないといけねぇ。まあいけねぇっつっても、オレはその過程も愉快に満喫してんだが」  語りながらニヤニヤ笑う赤髪と、それを微笑ましげに見つめるマッチョマン。どっちが悪魔だかわかったものではない。 「――ってことで、消えてもらうぜ?」 「咎人を殺す以外にも救世主になる方法がある」 「はっ?」 「そうだろ、アイロニクス、だっけ?」
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