狂喜のピストルとイノセントデビル

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 暫時の沈黙。やがて顔を出した既知の回答。 「……たしかに。ありますよ、一つだけ。ただ」  深く被り直されたシルクハット。不気味に緩んだ口元以外の表情を隠したやつは、僕の言わんとしていることを知ってなにを思うのか。 「自らの保身のために仲間を易々売ってしまうとは――どちらが悪魔だかわかったものではありませんね」 「なにせ【僕はペテン師】だからな。二流だけど」  と、いうわけで。 「ピカレスクの居場所を教える。ついてこい」  咎人との戦いを終わらせる手段は二つある。一つは咎人のどちらか死ぬこと。そしてもうひとつの方法、それは――どちらか一方の悪魔を殺すこと。
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