52人が本棚に入れています
本棚に追加
暫時の沈黙。やがて顔を出した既知の回答。
「……たしかに。ありますよ、一つだけ。ただ」
深く被り直されたシルクハット。不気味に緩んだ口元以外の表情を隠したやつは、僕の言わんとしていることを知ってなにを思うのか。
「自らの保身のために仲間を易々売ってしまうとは――どちらが悪魔だかわかったものではありませんね」
「なにせ【僕はペテン師】だからな。二流だけど」
と、いうわけで。
「ピカレスクの居場所を教える。ついてこい」
咎人との戦いを終わらせる手段は二つある。一つは咎人のどちらか死ぬこと。そしてもうひとつの方法、それは――どちらか一方の悪魔を殺すこと。
最初のコメントを投稿しよう!