狂喜のピストルとイノセントデビル

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 つまり僕はピカレスクの身柄を差し出すことで、まだ短い人生に決着をつけずに済むわけだ。その場合、悪魔がどうのメメント・モリの契約がどうのというこの〝異常〟に関する記憶の一切は頭から消されるらしいけど。 「待ちな。オレはちっとも了解の意を示してねぇ」  ガーネットから流れ込んできた情報の一部を脳内で整理していたところで赤髪の男が僕の肩を掴み、 「デリンジャー」  おもむろに振り返った僕の額に、奇怪な形をした小銃を押し付けてくる。 「ここに絶好の獲物がいるんだ。わざわざ標的を変える理由がどこにある?」 「僕を殺すのか? なら覚悟しろよ。【銃に弾詰まりは付き物】だからな」  毅然と言う。相手の目を見て。宛がわれた武器を睨んで。 「へぇ、オレが怖くないのか?」 「怖いさ。ただ僕だっておまえと話す以上、相応の腹の括り方はしているつもりだ。交渉が決裂するようなら、黙って死を待つしかないと思っている」 「……」 「ただ趣味趣向の話、死を覚悟した男子高校生より、必死に死を拒んで逃げる女子中学生のほうがいろいろとそそるものがあるんじゃないか、とね」
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