狂喜のピストルとイノセントデビル

2/41
前へ
/272ページ
次へ
「お待たせいたしましたー。こちら商品でございます」  どうしてこんなことになってしまったのだろう? そしてそんな書き出しから始まる物語がいったいどれだけあるだろう?  うん、そうだ。ちょっと百文字以内で整理してみようそうしよう。  ――街中で、変な女がうつ伏せになって倒れていた。方々から飛ばされる興味の視線はそれ以上でも以下でもなく、確かな熱をそこに乗せているのはいろいろと危なそうなおじさん連中だけ。だから仕方なく僕が声をかけること――ダメだった。やはりあのへんちくりんな出会いをたった百文字で括るのには無理があったか。  ならいっそ、諸々はすっ飛ばして結果を五文字で。 「キャホー! 飯じゃ飯じゃ! おかわりじゃァー!」  たかられた。タカラレタ。 「ほら、ハッピーセット。高かったんだからな」 「うむ、かたじけない。腹が減っては戦は出来ぬからな。ポテトうまー!」  たかられた挙げ句かたられた。  こんなボーイミーツガール……僕は片時たりとも望んでいなかったのに。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加