狂喜のピストルとイノセントデビル

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 話を戻そう。今僕の目の前でポテトSサイズを貪っている制服姿の女――名をピカレスクというらしい。ちゃんづけで呼んだら怒られた。  耳を隠して両頬の傍らで揺れる黒髪ツインテール。流暢(りゅうちょう)とも珍妙とも表現できるけどとりあえず話し言葉。言語。  強いて挙げるなら瞳が真っ赤なこと以外、外見堂々いかにも日本人をしていたけれど、なんかツッコミを入れると面倒くさいことに顔までツッコミそうだったのでやめておいた。  まあ道端どころか道の真ん中で倒れながら『腹がァ……戦がァ……』とか悶えている時点で、人としてのピンチを迎えた人か電波さんであることは容易に想像できていたし。 「じゃあ僕はそろそろ学校にいかないと遅れるから」  嘘。本当のところまだ時間はある。けれどそれとここに長居してやるのとはまったくの別問題で。彼女といればもうそれだけで散財しそうで。僕は逃げるように――というか逃げるべく、今日三つ目のバーガーへ手を伸ばすピカレスクを尻目に席を立った。
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