狂喜のピストルとイノセントデビル

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 店員なり客なりがいる中でそれはさすがに恥ずかしいというか居た堪れないというか。 「さあ零、御主に真の覚悟があるというのなら、この手を握ってみせい!」  既にドヤ顔で立ち上がった電波ガールが、声高らかに左手を差し出していた。店内にいる人間がそれとなくこっちを見ているのがわかる。 「……わかった。契約でもなんでもするからとりあえず座れ」 「うむ」 「それからそのベタベタのギトギトに汚れた指を拭け」 「うむ」  ピカレスクは言われた通り座って、それからどうやったらそうまで汚れるんだと問いただしたいほどに諸々で汚れた指を紙で拭いた。ついでに僕もいただいた汚れを拭き取った。赤……完全には消えなかった。  苦々しく思いつつも致し方なく。  事務的に、まあ妥協できる程度には見た目清潔になった手を掴む。温かい。机を挟んでピカレスクの目に僕が映っていた。 「……では、よいな?」 「ああ。とっとと終わらせよう」 「うむ」  それから一拍の間を置いて、いわく僕らはメメント・モリの契約を交わす。 「我輩はピカレスク」 「僕は成宮零(なりみやれい)」 「我ら、九つの咎を背負い、一つの真実を胸に十の救いをもたらすべく立ち上がる救世主なり」 「我ら、九つの咎を背負い、一つの真実を胸に十の救いをもたらすべく立ち上がる救世主なり」  …………ああ、恥ずかしい。穴があったらここにいるやつを全員放り込みたい気分だ。
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