英雄達の後日談〔エピローグ〕

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この星は温暖な気候ゆえに普段は暖かい日差しが街に差し込むのだが今日は巨大な雲に覆われて太陽は姿を眩ましていた。 恵まれた環境に慣れた人々は些細な気温の低下にすら肌寒さを感じ、いつもは薄着な町人達も長袖のタートルネックやパーカーを着込み外を闊歩している。 「…今日は一段と寒いな」 そう呟く男性はソファから立ち上がると箪笥に仕舞ってあった上着を引っ張り出し袖に腕を通しながら定位置に戻っていく。 いつも仕事に忙殺されている彼は普段なら怪獣達が前触れもなく街中を暴れるので休日だろうとウルトラ警備隊の服を着用しているが最近は休みの日には私服を着るようになった。 というのも休みの日にまで仕事着だと現在、泊まっている家の主による抗議の声と小言を長々と聞くことになるからだ。 「ダーン!」 久々に昼間のニュースバラエティを見ていると後ろの台所から自分の名前を呼ばれ後方に顔を向ける。 「お湯…今から沸かすけどダンも要るか?」 「ああ…頼む」 若いがゆえに日頃から素行が悪い彼の気遣いに感銘しつつ視線を再びテレビに戻す。 準備が終わったのか家主の青年は台所を後にすると足元のストーブを点けて隣に腰掛けた。 「今日は寒いな」 「台所とか凄ぇ冷えてるぜ」 青年はソファの上で体を丸め体育座りの姿勢で熱心にテレビの街頭インタビューを見詰めている。 内容はアンケート調査で『ロウ市の社会人100人に聞くゴールデンウィークに行きたい場所は!?』というものだ。
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