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「シャオヤン市とか行ってみたいんだよなぁ…」
「行ったことあるじゃないか」
「あんなの行ったうちに入らねぇよ!」
テロ鎮圧の為に世界各地を渡り歩いた二人だが長い間、同じ土地に足を留めることはテロリスト達が許してくれなかった。
解決したと思ったら他の地方でテロが起こるを半年ほど繰り返す波乱万丈の日々。
「…今度はさ」
「ん?」
「…任務とか関係なく―――」
ピイィィィッ
その時、薬缶の湯が沸く大きな音が台所から響いてきて言葉を消し去った。
青年は慌ててソファから跳ね起きると急いで騒がしく鳴り響く薬缶へと駆けていく。
二つのマグカップを持ち指と指の間で器用に小さめのスプーンを挟み居間のテーブルに置いた。
マグカップの中で波立つコーヒーを青年は溢れないよう慎重に男性へ渡す。
スプーンで上下に掻き回すと男性はコーヒーを啜りカップから口を離すと吐き出した白い蒸気が空気中を漂い霧散していく。
「さっき何を話そうとしたんだ?」
男性に促され打ち消された言葉の続きを話そうとした。
「…みんなで―――」
ピンポーーン
「……………」
またしても中断されてしまい場の雰囲気にヒビが入ったような錯覚に陥る二人だったが青年は無言でソファから離れ玄関へと足を進める。
ガチャ
戸を開けると見知った顔が笑顔を浮かべ挨拶してきた。
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