不思議な少女

2/4
前へ
/12ページ
次へ
(何やってんだろうな、俺…) また生きてた。 いや、生きなきゃいけない。 死ぬなんて以っての外だ。 まだ両親に「ただいま」は言ってないんだから。 目はつむっていたが、涙が一筋頬を伝ったのがわかる。 俺は起き上がろうとしたが体に力が入らなかった。 (お腹空いてるんだもんな…。当たり前か。) でも早く起き上がらないと。 早く帰らないと。 その気持ちは膨らむばかりだ。 幸い日は出てるようで温かさを感じる。 こう…何て言うか…天然のストーブみたいな感じ。 これならまた歩ける。 森の中でこんなにポカポカするんだから快晴のは……… 「……………」 ず、と言う前に、ハイ、また違和感はっけーん。 日が沈めば真っ暗闇。 日があっても薄暗い。 なぜそんな生い茂ったところで天然のストーブと感じるぐらい温かくなるんですかー? 思考がだんだんと外側へ移行していく中で、俺はパチパチと木の燃えるような音を耳にした。 火事…じゃあないよな。 誰かが、いる。 なぜこんなにも誰か他の人がいることに敏感に反応しているのかはわからない。 嬉しいはずなのに、なぜかこんなところに人がいるはずはない、と俺の心は否定している。 とにもかくにも、見て確かめないとわからない。 くっついてなかなか離れない瞼をゆっくり持ち上げ、光源の方へ目をやった。 やはり火が焚いてあり、嬉しいことに誰かが用意してくれたのか、食事(サバイバル料理?)まである。 緊張が解(ほぐ)れ、顔が綻んだ。 一度目を閉じまた空を見ようと目を開けた…… 「………………」 はずだった。 いや、目は確かに開けたんだけど…。 「………………」 なんだろう。 俺は空に視線を移した…んだよな? 「……………は?」 えーっと… 俺が全然まったくほんとにもうこの状況を理解できていないが…… 今の状況…説明してもいいか? 女性が一人、俺の顔を至近距離で覗いているんだが…… .
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加