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「……大丈夫?」
なんか話しかけられたか?俺…。
「あ、ああ、まあ大丈夫…。けど腹減ってんのと手が痒いのと…」
船の上でも見かけたことのない女性だった。
ってかそんな知らない女性に対して何言ってんだよ…。
俺の言葉を聞いたその女性はたき火の方に移動し、木で作ってあるのだろう器に入っていた飲み物を口に含む。
そういえば喉も渇いてるな、と女性の方を見ながら思っていたら、またこっちに戻ってきて、さっきいた場所に正座した。
そしてまた覗き込んでくる。
「…?…どうし…っ!?…んん…!」
次の瞬間、
俺は唇を重ねられた。
不思議な味のする温かい液体が口移しで俺の喉を通っていく。
「んん!…んぁ…ハァ…ハァ…。何なんだよ…もう……。」
女性はゆっくりと唇を離し、しかし顔は近いまま俺を見つめてくる。
誰なのかを確認したかったが、目がとろーんとして、また意識が遠退いてしまい、確かめるどころじゃなかった。
っていうかそのまま気を失って良かったとさえ思う。
だってさ。
あー、俺大学一年生な。
けどさ…
ファーストキスだったんだぜ?
不意打ちは精神に悪いよ…。
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