漂流

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俺が寝ていたところはそんなに海岸から離れていなかった。 防潮林の中みたいな感じのところにいたようだ。 とりあえず近くってこった。 時は既に9月… 何日かはわからないけど、前半だろうね。 まだ暑さの残る日中の太陽さんは沖縄びっくりの綺麗なビーチを見事フライパンに変えてくれていた。 足を引きずって歩く身の俺にとってはまさに地獄だな、うん。 っていうか沖縄びっくりっつったけど、ここはどこじゃい。 こんな綺麗な海そうそうお目にかかれないぞ。 …呑気だな。 OBSできついの味わってるから? もう無理だって諦めてるから? …違うかな。 多分この自然に圧倒させられてる感じが、俺にそんな余裕を与えてくれないんだろう。 雄大。 彼女がいたら、その彼女より海に一目惚れしそうなぐらい。 ま、彼女がいない俺にはようわからんし、関係ないね、うん。 でもやっぱ、それより気になることがあるんだ。 「ここはどこやねん。」 彼女のいるいないなんていう俺の個人情報は非常にどうでもよかった。 で、ここどこ? あ、ちなみに彼女はいないからな? 募集中。 あ、さらにちなみに俺関東出身。 関西じゃないから。 俺は浜辺の左側に高さ30メートルぐらいの崖を見つけた。 その先はここより一段高くなってるみたいで、森の方へ続いてる。 近くまでいき、岩に手をかける。 クライミングは得意だ。 片足使えないけどまあなんとかなるな。 そんな感じでちゃちゃっと登ってみた。 俺のいるこの場所が一望できた。 どうやら巨大な島のようらしい。 左右見ても地平線のようなものは確認できないから、ということからの判断でしかないけど。 内陸の方はあまりアップダウンはないが、はるか先にここより高い丘のような山が見え、その頂上にとても大きな木が一本生えてるのが確認できる。 あそこまで行ってみたいが、相当でかいから迷いそうだ。 コンパスだけあっても意味ないし。 呆然と眺めていたが、ある音が俺を目覚めさせた。 「ぐぅ~…」 …お腹すいた。 「ぐぅ~…」 お腹すいた。 「ぐぅ~~…」 もう突っ込まねーぞ! どんだけ減ってるんだよ! …確かに、気付くと結構腹減ってる。 とりあえず食い物探さないとだ。 崖に沿って森へ入ってみるか。 「ぐぅ~…」 ハハ、やべぇな。 冗談にできないかも…。
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