常闇の支配者

13/18
375人が本棚に入れています
本棚に追加
/808ページ
悪戯っぽい表情にシニカルな笑みを刻んだ青年は、飄々とした口調でわざとらしく溜め息を吐いて見せた。 背中まである癖の強い灰色の髪は、もしかしなくともシュトラールだろうか。 ダンケルハイトとシュトラールが並び立つ異様な事態に、セレスは困惑したような面持ちで両者を見比べた。 「……イーグル」 「それにしても、活動停止の後にも姿が戻らないなんてね。どれだけのファントムを喰らったんだろ……あんな物が主食だなんて、おぞましいな」 軽く言いながらも侮蔑が滲む眼差しで魔物を蹴った青年は、同意を求めるようにレヴィアスを見た。 「イーグル、口を慎め」 冷たくそう吐き捨てたレヴィアスに、つまらなそうな顔をしたイーグルだったけれど……彼はへたり込んだままのセレスを見て笑みを深める。 「君、災難だね。こいつ……シャドーウルフに噛まれたら、98%の確率で寄生されるよ」 「えっ……!?」 こいつ、と言いながら黒い魔物を顎でしゃくったイーグルの発言に、セレスは思わず身を乗り出した。 しかし、消耗し切った身体は地面に手を付く間も無くバランスを崩し、謀らずもレヴィアスの胸に倒れ込む形となる。 見掛けよりも強靭な身体はセレスの体重を受けても動じる事はなく、支えてくれる腕に甘んじてしまいそうだ。
/808ページ

最初のコメントを投稿しよう!