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「御父様‥
もういいじゃありませんか‥」
弥生さんは
新しい珈琲を
置きながら言った。
「そ~ですよ‥大先生‥
必死に調べて
らっしゃったんですよ‥(笑)
都築様の事‥」
柳沢氏は肩の荷が降りたのか‥何か吹っ切れたのか‥
今までに無く‥
明るく‥軽く見えた。
「お前っ‥!!
調子に乗るなっ!!
何だっ!!その態度わっ!?」
大先生が照れ隠しの様に
一喝した。
「も~大先生に
遠慮しない事にしました‥。
私も‥アナタの息子ですから。この柳沢家の
大黒さんになるのですから‥
御父様に遠慮なんて
してられません。
家族ですから‥」
大先生は‥また‥
リンゴの様に赤くなった‥
そして‥大先生の目には
うっすら涙が溜まっていた。
「ジジイ‥ちゃんと‥
残してるじゃね~か‥
血より濃い‥
ジジイの意志を継ぐヤツ。
手当たり次第
勧誘してんじゃね~よ‥
負けず嫌いの上に
欲張りさんかっ!!
こ~ゆ~ジジイにゃ
なりたくね~よなぁ~?」
KIYOはドーベルマンの
顎を撫でながら言った。
「負けず嫌いで
欲張りくらいでなきゃ
この世界は渡りきれんっ!!
それより‥」
大先生はドーベルマンと
KIYOをシゲシゲ
見つめながら続けた‥
「コイツが私以外の人に
ここまで心を開いたのは‥
初めてだ‥
あの初めの一瞬で‥
“平蔵”が懐いた瞬間に‥
私は‥キミに
危機感を覚えたよ‥
何者だ?ってね‥
その時に‥既に私は‥
負けを確信していたのかも
知れん。」
「しかし‥ジジイは
負けず嫌いだからな‥
認めたく無かったんだろ?」
大先生は‥
実に楽しそうに笑った‥
ど~やら‥
KIYOと‥実はすごく
ウマが合うのかも知れない‥
「それよりっ!ジジイっ!!
コイツ‥平蔵って言うのか?
もしかして‥平蔵って‥
鬼平の平蔵かっ!!?」
「オォォ~っ!!
そ~ともっ!!鬼平だっ!!
私は鬼平犯○帳の
大ファンでなぁ~‥
DVDボックスもあるっ!
キミも好きなのか‥?」
KIYOは‥
頭を抱えてうなだれた‥
鬼平が好きなのは‥
花音だから‥
きっとKIYOは‥
“コレがDNAってヤツか?
コレが血ってヤツか?”
と‥頭を抱えているに
違いない。
平蔵はそんなKIYOを
慰める様に
KIYOの顔をペロペロと
ナメていた。
ウチの猛獣は
柳沢家の人間だけでなく‥
平蔵をもすっかり
虜(とりこ)に
してしまった様だ‥
こうして‥
全面戦争になる前に‥
和睦した。
KIYOの‥完全勝利だった。
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