告白‥

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「これが‥ 私のお母ちゃん‥?」 花音はロケットの中の写真を 見つめながら言った‥ 「んん‥花音のお母ちゃんと‥生まれたての花音。」 「私‥こんなに ちっちゃかったんだね‥」 花音はニヘニヘと笑った。 「ちっちゃかったよ‥ ちっちゃくて‥ 可愛いくって‥ いつも‥ 丸かじりしたくなるくらい‥」 俺も思い出して笑った‥ 「今は‥?」 「今も‥可愛いくって‥ 仕方ない。きっと‥ 花音がお婆ちゃんになっても 花音を丸かじりしたくなる。」 俺は花音の頭を ガブーッとした。 「ヒョェ~っ♪」 花音は変な声を出して笑った‥ そして‥ 「お兄ちゃん♪ 私‥爺っちゃんに会いたい♪」 と‥言った‥。 「ん‥。解った。 ジジイに言っとく。」 「お兄ちゃん‥ 私のお母ちゃんが‥ お兄ちゃんに嫌な事して‥ ゴメンネ‥」 花音が‥謝る事じゃない‥ 花音がそんな事‥ 考えなくていい‥と 言いたかったけど‥ そんな事‥ 花音だって解ってる事‥ 「お兄ちゃん‥ 私のお母ちゃんの事‥ 嫌いだよね‥ お兄ちゃんや‥お父ちゃんに ヒドイ事したもんね‥」 今までならきっと‥ 言葉にしなかった様な事を 花音は口にした。 お互い‥ 痛い程よく解るから‥ 口にしなかったであろう事を‥ 「そうだな‥嫌いだった。 花音の母ちゃんの事も‥ 自分の犯した罪も‥ 全部嫌いで‥許せなかった。 でも‥ 花音を生んでくれた事は‥ ずっと‥ずっと‥ 感謝してた。 花音と‥出逢った日から‥ ずっと‥。」 皐月と言う女の人生に あんな事があったから‥ 皐月を許すとか‥ 許さないとか‥ そんな‥問題では無く‥ 「今はただ‥ 花音が‥生まれて‥ 俺の生きる力に なってくれた事‥ ただ‥それだけは‥ 感謝してる。 花音は‥生まれた時から‥ ちゃんとお母ちゃんに 愛されて‥お母ちゃんに 守られてきたんだよ‥ だから花音は‥ 俺に遠慮する事ない。 お母ちゃんの家族とも‥ 家族になったらいい‥」 俺は‥あれほど 拒み続けた言葉を‥ 口にしていた。 「お兄ちゃん‥アリガトー。 私は‥今までずっと‥ お兄ちゃんに愛されて‥ お兄ちゃんに守られてきたよ。 一番近くで‥私には‥ それが全部だったよ。 今‥お母ちゃんの事を 聞いても‥私の記憶には‥ お兄ちゃんに愛されて‥ お兄ちゃんに守られてきた 記憶しかない。 それが‥私の全部だよ。」 そう言って‥ 花音は‥ニへっと笑った‥
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