宿命‥

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「今日は本当に 有り難う御座います‥」 柳沢夫妻は頭を下げた‥ 「ど~なんだ? ジジイの体調は‥」 KIYOは朝から 豚カツを食べたにも関わらず ローストビーフやら 生ハムやら‥ 相変わらずの 大食いっぷりだった。 「それがあの通り‥ お医者様も 驚いてらっしゃいました。」 「生きる気力が 湧いてきたんでしょう。 花音ちゃんが成人するまでは 絶対死なん!と 言っております。 本当にそんな気が致します。」 柳沢夫妻は朗らかに笑った。 初めて社長の家で会った時とは別人の様だった。 憑き物が取れた様だった。 柳沢家の 後継者問題の呪縛から 解き放たれたのだろう‥ 「鬼平はグルメだねぇ~♪」 「そ~だねぇ~花音ちゃん♪」 「ァア~この鍋‥ 食べてみたいねぇ~♪」 「そ~だねぇ~花音ちゃん♪ 今度、爺っちゃんが この軍鶏鍋を 食べに連れてってあげよう!」 「ホントにぃ~♪」 「ァア~♪ホントだよ~♪」 爺っちゃんと花音ちゃんは 二人で鬼平DVD鑑賞会を していた。 こ~して見ていると‥ 爺っちゃんの生きる気力に なっているのがよく解る。 「KIYO~今度、花音ちゃんと 軍鶏(シャモ)鍋行くぞ~」 ちゃんとKIYOに お断りする所が可愛いな‥ 「ァア~?あの子持ちの 小さい魚、鍋で食うのか? 珍しいなぁ‥ 生臭くね~のか?」 それは‥シシャモ‥だろ? 恥ずかしくてツッコむ事さえ はばかられる。 「真理‥食った事ある?」 「ない‥。」 軍鶏鍋も‥シシャモ鍋も‥ 「ジジイ!真理と俺も 連れてけよっ!!」 「ォオ~勿論! 花音ちゃ~ん‥良かったね~」 柳沢夫妻はクスクスと 笑っていた‥ 私も‥シシャモ鍋と 思っているKIYOと‥ ただの孫バカになった 大先生を見て笑った。 きっと‥ 皐月さんも‥ 笑っているだろう。 また‥ 何度もアリガトー‥ と‥言いながら。 「真理‥コレ美味いぞ。 ホラ‥食えっ。」 KIYOが私の口に何か入れた。 ウッ‥!! 胸の底から突き上げる様に こみ上げて来た‥ ヤバイっ!!ヤバイっ!! 「‥真理っ!!?」 私はKIYOの呼ぶ声を無視して 席を立った。 ウ~~~~っ‥ 広い家はトイレが遠くて‥ こんな時不便なんだよ~!! 私はこみ上げてくるモノを 必死でせき止めながら トイレに辿り着いた‥ はぁ‥間に合った。 ん‥? コレ。テレビで見た事ある。 ウソっ!!マジで?
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