宿命‥

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KIYOは 社長に言われた病院まで 自分で運転した‥ 病院に着くまで KIYOは何も言わなかった‥ 怒ってる‥よね‥ 何を言っても‥ ダメな気がした。 どの言葉も‥ 違う気がして‥ どの言葉も‥ みんなKIYOには お見通しの様な気がして‥ 何も言えなかった。 KIYOは‥ 私の胸が張ってる事も‥ 私が車の中で 気分が悪くなった時も‥ ちゃんと気付いてくれた。 そう‥ 何時でもKIYOは 私のカラダ‥心‥表情‥ 私の全てを見てくれている。 KIYOが以前私に‥ “言いたい事、伝えたい事は 俺が見つけてやる‥ カラダ全部使って‥ 見つけてやる‥” と‥言った事は‥ 大袈裟ではなく‥ ホントだった。 KIYOはカラダ全部使って‥ 私を見てくれている。 そんなKIYOに‥ 隠し事なんて‥ そもそも無理な話なんだ。 私は思い知らされた‥ KIYOの五感の鋭さに‥ KIYOの愛の深さに‥ KIYOは病院の裏口らしき所に 車をつけた。 すると‥ 先生らしき白衣の男性が 出迎えてくれていた。 「こちらに‥」 私は救急搬入の様に コロコロに乗せられた‥ KIYOは帽子とサングラス‥ 長い髪は レザージャケットで隠し 私のコロコロの横について 歩いていた‥ 私達は誰ともすれ違う事なく 特別室と言う所に入った。 中には 女の先生と 年配の看護士さんがいた‥ KIYOが言った 凄腕の女医だ。 「えっと‥ 都築真理さんですね‥」 「あ‥はい。 あの‥私‥保険証とか 今持ってないんですけど‥」 クスクス笑われた‥ 「いいから 早く診てもらえっ!」 KIYOに怒られた‥ 「じゃぁ‥こちらに‥ 御主人様はあちらで お待ち下さい。」 御主人様は ムスっとしながら あちらに行った。 女医さんがいくつか質問して それに答えて‥ 私は産婦人科の あのイスに移動した。 ドキドキして‥ 心臓が口から出そうだった‥ ひんやりした冷たい物質が 入って来た‥ 私はギュッと目を閉じた‥ そして‥ 女医さんが‥ 「おめでとう御座います。 妊娠してますよ‥」 と‥言った。 妊娠‥してますよ‥ と‥言った‥。
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