宿命‥

9/33
前へ
/415ページ
次へ
「今‥妊娠7週ですね‥ もうすぐ‥‥」 「KIYO~~~っ!!」 私は女医さんの話も聞かず 大声でKIYOを呼んだ。 するとKIYOがスッ飛んで来た。 「真理‥‥?」 「KIYO‥赤ちゃん‥できたよ 私達の赤ちゃん‥できたよ‥」 KIYOは‥ しばらく目をパチパチして‥ 「赤ちゃん‥ 俺と‥真理の‥赤ちゃん‥」 と‥棒読みで言うと‥ スゴイ勢いと力で 抱き締められた‥ 「真理‥アリガトー‥ アリガトー‥」 「KIYO‥。アリガトー‥」 私達は‥お互いに アリガトーと言った。 私のお腹の中の 小さな命にも‥ アリガトーと言った。 「KIYO‥また‥ 家族が増えるね‥」 「んん‥増えるな‥ ドンドン増やして行こ。」 KIYOの目は‥ 潤んでいた‥ さっきまでの怖い顔じゃなく パパの顔に見えた‥ 「オイっ!!写真あんだろっ! 早く見せろっ!!」 パパは女医さんに かみついた。 女医さんは苦笑いで プリントされた紙を KIYOに渡した。 「ちっちぇ~~‥ こんなちっちぇ~の‥? でも‥かわいい~~っ!! ピーナッツみてぇ~っ!! かわいい~~っ!!」 写真をガン見しては‥ ジタバタしながら はしゃぐパパを見ていると‥ 幸せ過ぎて‥ 泣けてきた。 「真理‥今日から真理は 二人前だからな‥ いっぱい食べるんだぞ‥ あと‥家の事は 全部ヘルパーにさせるから 真理は赤ちゃんを育てるのに 専念しろ。いいな?」 KIYOは私の零れ落ちる 幸せの涙を指で拭いながら 言ったのだが‥ 「それはいけませんっ!」 女医さんが反対した。 「‥んだと~っ!!? 俺は大黒さんだぞ‥?」 大黒さんの言う事は絶対‥ って事? 「安定期に入れば 適度な運動も必要です! 食事にも 気をつけてもらわないと 過度の体重増加は危険です! 私の指示に 従って頂きますっ!!」 さすが‥凄腕の医者だ。 「KIYO‥先生の仰る通りよ‥ 凄腕の先生に任せましょう‥」 KIYOは‥ 凄腕の女医さんを ジッっと見つめて‥ 「テメー‥ 俺の真理と‥ 俺の赤ちゃん‥頼んだぞ。」 と‥言った。 「ハイ。私が出産まで しっかり診させて頂きます。 お母さん‥ 一緒に頑張りましょうね‥。」 お母さん‥ 私‥お母さんなんだ。 私は‥ お母さんになった感動を‥ この日の事を‥ 一生忘れないだろう。
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13793人が本棚に入れています
本棚に追加