宿命‥

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まさか‥ こんな事になるなんて‥ 思ってなかった‥ 私はただ‥ 母さんの手紙を見て‥ 私のお父さんに 会いたかっただけだった。 “あなたのお父さんは‥ 満島智己。” 母さんが‥ 私が二十歳になったら 渡して欲しいと言って 祖母に預けていた手紙。 母さんは‥ 私を産んですぐに 亡くなった。 母さんは‥ 私がお腹にいた時から 私に手紙を書いてくれていた。 母さんはカラダが弱く 出産も命懸けだった。 そこまでして 私を産んでくれた。 そこまでして 残したかった 母と父の結晶。 その父とは‥ どんな人なのか‥ 母が愛した人は‥ どんな人なのか‥ 母は何故‥ 私をひとりで産んだのか‥ 私を産んだ意味があったのか‥ 祖母は‥ “ルイの父親は ルイが生まれる前に 事故で亡くなった。” と言っていた。 真実を隠したまま‥ 天国に旅立った。 母から預かっていた手紙だけを残して‥ そして‥ 二十歳の誕生日。 それが母からの 最後の手紙だった。 二十歳の私は‥ 何かに突き動かされたかの様に動き始めた。 その手紙だけを 道標にして‥ そうして‥ やっと‥ 私は‥ここまで来た。 父親に‥ 拾われた。 「‥‥‥脱げ。」 「え‥?」 あの‥“Moonscape”の‥ KIYOが‥ 私の目の前に立って 腕組みをしながら 私を見下ろしていた。 近い。 ただでさえ緊張で ガチガチなのに‥ 確かに‥ 覚悟はある。って 言ったけど‥ いきなり‥脱げって‥ ここで全裸? 度胸試し? 「脱げって。上着。」 あ‥上着か‥ 「お前何考えてんの? 俺をどごぞのプロデューサーと一緒にすんな‥」 やっぱいるんだ‥ そんな プロデューサーいるんだ‥ 社長は‥ クスクスと笑っていた。 まるで‥ 自分の息子を見る様な顔で‥ 笑っていた。 ここに‥ 本当の娘がいるのに‥
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