宿命‥

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その頃*** 「まだ桜咲かないねぇ~ もうひと息だねぇ~」 「も~少しだな‥ 満島‥寒くない?」 「うん♪寒くないよ♪ シン、寒いの? あっためてあげよっか?」 「!!?!!?!!? だっ‥だっ‥大丈夫だ‥ょ」 何ちゅー事を‥ この子は‥ 無邪気な笑顔で‥ 何ちゅー事を‥ 春休みに入って初めての 公園デート‥ 俺は‥ 中華屋のバイトと 工場現場のバイトの 掛け持ちで忙しく‥ 満島は‥ 爺っちゃんがデキた‥ らしく‥ 爺っちゃんと遊んだり‥ ミポリンと遊んだり‥ (えらく可愛い呼び方だが 姉御のお母さんらしい‥) 清春と遊んだり‥ (小学生だが‥お兄ちゃんの ライバルらしい‥) 相変わらず不思議ワールドの 交友関係だが‥ 春休みを満喫していて‥ 俺‥忘れ去られてね? って感じだった。 親父の事も‥ 話したかったが‥ 学校では話辛いし‥ 下校中では時間が足りなくて‥なかなか落ち着いて 話をする機会が無く‥ 今日に至る。 “私もシンにお話したい事 いっぱいあるんだぁ~♪” 満島は‥ 昨日電話でそう言っていた‥ 俺も‥ 溢れるくらいあるよ‥ とは‥言えず‥ “楽しみにしてる。” としか言えなかった。 大人になったら そんな事の一つや二つ サラっと言える様に なるのだろうか‥ 「シン♪ ジャンケン‥ポンっ♪」 ハ‥!?何をいきなりっ!? と思ったが‥ 俺は反射的に グーを出していた‥ 満島は手をパーにして ニへっと笑っていた。 負けた‥。 そもそも満島には ジャンケンでも 勝てる気がしないのだが‥ 「私の勝ち♪ 私からお話するね♪」 「あ‥うん‥」 お話する順番ね‥ ちゃんと‥ 俺にも言いたい事がある事を 満島は知っていた‥ やっぱり適わない。 「報告しま~す♪私ね♪ 爺っちゃんがデキたの♪」 「‥‥うん。」 知ってる。 爺っちゃんとこ 遊びに行くって言ってたし‥ 「あれ?驚かないの?」 「え‥?あ‥ ウソ~っ!?マジでぇ~っ!?」 これで‥いいのか? 「それがね♪お母ちゃんの お父ちゃんでね♪ 叔母ちゃまと叔父ちゃまも 一気にデキたの♪」 満島は‥ 頬を桜色にして 嬉しそうに話してくれた‥ そして‥ 俺は‥この後‥ 真っ青になる。 「コレが私のお母ちゃん♪ サツキって言うんだよ♪」 満島は‥ 首にぶら下がった ペンダントをカチっと 開けて‥俺に見せた‥ サツキって‥ コレ‥ けしからん人妻の‥ サツキ‥? マジかよ‥ウソだろ? 俺は‥本気で驚かされた‥
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