宿命‥

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「‥満島?」 俺の後ろを トボトボと歩いていた満島が 高級マンションに 着いたのに‥ ギュッと俺の服を 握ったまま離さない。 「まだ‥聞いてない‥」 二人共ずっと黙っていたので 満島の声もかすれていた。 聞いてない‥って‥ 「シンの話‥聞いてない‥」 「それは‥」 それは‥もう‥ 口にする事は‥出来ない‥ こんな‥ こんな思いをするのは‥ 俺ひとりで充分だ‥ 満島には‥ 絶対に言えない。 「言いたくないならイイ。 でも‥もう少し‥ 一緒にいたいの。」 満島は‥青い瞳を 真っ直ぐ向けて言った。 ダメだ‥ 俺は‥青い瞳を‥ 真っ直ぐ見つめ返す事が 出来なかった。 「ゴメン‥やっぱ‥俺‥」 「シン‥お兄ちゃんに言った。私の事‥守るって‥ 言ったじゃん! 私‥今ひとりで居たくない。」 「満島‥‥」 満島は‥ ポロッと女優さんみたいに 綺麗な涙をひと粒流した。 俺は‥ お兄ちゃんに言った。 死んでも‥満島の事を 諦めないと‥ お兄ちゃんは言った。 死んでど~やって守る?と‥ 俺と同じ覚悟で生きろ。と‥ 俺は‥ 覚悟を決めた。 お兄ちゃんと‥ 同じ覚悟で生きる事を‥ 俺は‥ 満島と一緒に 高級マンションの エントランスに入り‥ エレベーターに乗った。 満島は秘密の鍵で ボタンを押して‥ 豪華な箱が 俺達を最上階まで運んだ。 初めてココへ来た時とは 違った緊張感があった‥ 満島は玄関を入ると 黄色いクマのスリッパを履き 俺にふかふかスリッパを 出して‥ 俺はまだ‥ ちゃんとスリッパを 履いてない状態で 腕を引っ張られ‥ 満島の部屋に 連れて行かれた‥ 満島の部屋に入ったのは‥ 初めてだった。 これが‥ 最初で最後かも知れない‥ 俺は‥ 満島の部屋を 目に焼き付ける様に 辺りを見回した。 すると‥ さっきとは反対に 満島がギューッと 俺に抱きついて来た‥ まるで‥ タックルの様で‥ 俺は‥ 満島のふかふかベッドに 押し倒されてしまった‥ めまいがしそうなくらい すごく‥イイ匂いがした‥ このまま‥ 死ねたら‥ 幸せだろうな‥ 一瞬そんな事を考えた。 お兄ちゃん。 俺は‥ やっぱり‥ 死んでも‥諦めたくない‥ ど~したら‥ いいんだよ‥ お兄ちゃん‥ 教えてくれよ‥ 俺の青い瞳から‥ ボロボロと涙がこぼれていた‥ 女優さんみたいな 綺麗な涙じゃなく‥ 漫画みたいな‥ 滝の様な涙が流れていた‥
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