宿命‥

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しばらく俺は‥ 片手で目を隠し 泣いていた‥ 満島は‥ 何も言わず ただ‥ 俺の心臓の音を聞く様に ピタッと俺の胸に くっついていた‥ 「満‥島‥ ゴメン‥」 俺は必死に声を振り絞った。 「ど~して‥? ど~して謝ってばっか? ど~して‥?」 満島は俺に乗っかったまま 言った。 満島のふわふわした 金色の髪が‥ 俺の頬をくすぐった。 「ゴメン‥満島‥ 話が‥ある。」 俺は満島を乗せたまま 腹筋をする様に 上半身を起こした。 すると 満島の顔が至近距離で‥ また‥目をそらしてしまった。 「何‥?話って‥」 きっと‥ 満島は‥ 俺を直視しているに違い無い。 痛いくらい‥ 視線を感じる。 「満島‥‥別れよ‥」 俺はまた‥ 声を振り絞った。 振り絞ったら‥ 雑巾を絞ったみたいに 胸が苦しくなった。 「何で‥何で‥ そんな事言うのっ!!? シン‥ズルイよっ!!! ホントに‥ そう思ってるなら‥ ちゃんと‥ 目を見て言ってよっ!!」 満島は‥ 俺の雑巾みたいな胸を ボコボコ叩きながら叫んだ。 ズルイ。か‥ 確かに‥ズルイよな‥ 「満島‥俺はもう‥ 満島と付き合えない。 だから、別れよう。 俺の言いたかった事は‥ これだけだから‥ ゴメン‥帰るわ‥」 俺は‥ 満島の目を直視して言った。 この目を‥ この青く澄んだ瞳を‥ 俺の青い瞳に 焼き付ける様に‥ そして‥ 俺は震える手で 満島を引き剥がし‥ 満島の部屋を出た。 中から‥ 子供が泣いてるみたいな 満島の泣き声が聞こえた。 その涙は‥ 俺が流させた涙‥ じゃあ‥ 俺の滝の様な‥ 漫画みたいな涙は‥ 誰が流させてんだよっ!! 誰が悪いんだよっ!! 俺か‥?満島か‥? 違うだろっ!! 俺達は‥ 何も悪くないっ!! 何で‥何で‥ こうなっちまったんだよっ!! 俺が長い廊下を バタバタと突っ切り 玄関で靴を履いた時‥ 「シンっ‥!!」 姉御が帰って来た‥ 俺は‥ 姉御に挨拶もせずに‥ 漫画みたいな泣き顔を隠す様に姉御の横を通り過ぎ 止まったままの 豪華な箱に飛び乗って “閉”のボタンを連打した。 もう‥ 姉御に会う事も無いだろう。 俺が‥ エントランスを出て ゴシゴシと涙を 拭きながら歩いていると‥ キキィーーーーっと 1台の車が俺の横に Uターンして止まった‥ 「‥‥お兄ちゃん。」 その危険な車の主は‥ お兄ちゃん‥ KIYOだった。
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