宿命‥

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お兄ちゃんは‥ サングラスも‥ 帽子もつけずに‥ KIYO丸出しで‥ 「‥‥乗れ。」 と‥言った。 その目で言われたら‥ 動けなくなった。 「乗れって言ってんだよっ!!」 俺は‥助手席に乗った。 お兄ちゃんは‥ 何も言わず 俺にティッシュの箱を投げつけ また‥スゴイ音を出して 車をUターンさせた‥ まだ‥肌寒いのに‥ お兄ちゃんはタトゥー丸出しの半袖の派手なシャツを 着ていた‥ きっと‥ 慌てて出て来たんだろう。 さっきの電話で‥ 満島の様子が変だったから‥ 俺も‥ お兄ちゃんみたいに‥ お兄ちゃんとして 満島を守れるだろうか‥ 満島を傷つけた俺に‥ そんな事‥ 許されるだろうか‥ お兄ちゃんは‥ それを‥ 許してくれるだろうか‥ 俺に生きる理由を与えてくれたお兄ちゃんは‥ まだ‥俺にその理由を 与えてくれるだろうか‥ 「オイ‥」 お兄ちゃんに呼ばれ ふと顔を上げると‥ そこは‥薄暗かった。 どうやら‥マンションの 地下駐車場らしい。 また‥戻って来てしまった。 「お前‥花音に何を言った?」 お兄ちゃんの声は‥ 震える程怖くて‥ イイ声だった。 初めて会った日を思い出した。 「‥別れよう。と‥ 言いました‥」 俺は‥正直に言った。 お兄ちゃんに‥ 殴られるだろうか‥ 半殺しだろうか‥ 半殺しなら‥ いっそ息の根を止めて欲しい。 「そうか‥ 引き止めて悪かったな‥ もう‥帰れ‥」 お兄ちゃんは‥車から降りた そっか‥ 俺は‥殴られる価値も無い お兄ちゃんは‥ 別れたら‥ タコ踊りをするって 言ってたんだ‥ 少なくとも‥ お兄ちゃんに‥ 認めて貰ってた‥ お兄ちゃんに 可愛いがられていた‥ と思っていたのは‥ 俺の自惚れだったのか‥ また‥漫画みたいな 涙が溢れてきた‥ 「何してる?」 お兄ちゃんは助手席に周り ドアを開けた‥ 「言っただろ? 俺と同じ覚悟の無いヤツに 花音は渡さないって‥。 お前‥ そんな涙流して‥ 諦める勇気はあるクセに‥ 真実を知る勇気は無いのか? 俺なら‥諦める前に‥ 真実を確かめる。 お前がした事は‥ 無駄に花音を傷つけただけだ‥お前のその涙も‥ 流さなくていい 涙かも知れない‥ 俺は‥そっちを信じてる。 帰れ。」 お兄ちゃんは‥そう言うと‥ 俺を引きずり出し 鍵をピッと閉めて‥ ひとり消えて行った。 そっちを‥信じてる。 お兄ちゃんは‥そう言った。 お兄ちゃんは‥ 知っていたのか‥? 俺と‥満島の事‥
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