初恋です。

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「花音ちゃんも歌ってぇ~」 大好きな彼女の為に ケンシローは 一番得意な唄を 歌っているのに‥ 肝心な皆川は 聞いちゃいない‥ 何かケンシローが少し 可哀想になってきた‥ まぁ気持ち良さそうに 歌っているからいいのだが‥ 俺も‥ 満島が一体何を歌うのか‥ 気になる。 「ぅ~ん‥ じゃあ‥私コレにするっ♪」 ♪♪~♪~♪♪~ えぇ~~~~っ!! 【クレイジーケ○バンド】 シブッ! マジかよっ! シブ過ぎだろっ!? しかも‥ そんな顎ひいて ムリヤリの低音ボイス‥ 可愛い過ぎ。 きっと‥ 笑わせ様とか‥ ウケ狙いとか‥ 盛り上げ様とか‥ そんな事は考えてなくて‥ ホントにこの唄が 歌いたかったんだろう。 とにかく‥ 満島は不思議少女だった‥ 今でこそ‥ こうして隣に座り‥ 普通に喋ってはいるが‥ 俺は‥ 声をかける事も‥ 目を合わせる事も‥ 出来なかった。 しかし‥ ずっと‥俺の視界には 満島がいた。 見ているだけで 楽しかった‥ その意味不明な行動も‥ 時には危なかっしくて‥ 目立つ存在だけに 目が離せなかった。 彼女の危機を見る度に 体が勝手に動いていた‥ しかし‥ 声もかけれないし‥ 目も合わせられないので‥ いつもその場から 逃げる様に立ち去った。 そんなある日‥ いつもの様に立ち去った俺を 猛ダッシュで追いかけて来た。 俺は逃げた。 逃げて‥逃げて‥捕まった。 「ど~して逃げるの?」 黙る俺。 「私‥食べたりしないよ?」 解ってます。 「いつも‥ お礼言いたかったのに‥ 今日は絶対言うんだからっ! マキシンタ君♪アリガト♪」 彼女はニヘっと笑った‥ マキシンタ‥ 牧野の“野”は無いし‥ 新太じゃなくてアラタだし‥ 間違いだらけだったけど‥ それを訂正する勇気は 無かった。 きっと‥ 彼女じゃない誰かなら‥ ボコボコにしてるところだ。 俺の顔は‥ 今ど~なってるんだ? 鏡があっても怖くて 見れないが それくらい今までに無い 緊張と高揚感だった。 そんな俺をよそに‥ 彼女はそれだけ言って また猛ダッシュで 去って行った。 それから‥ 挨拶をしてくれる様に なったが 俺は相変わらず 無愛想だったと思う。 数ヶ月後‥ ケンシローが 皆川と付き合い始め‥ ケンシローは‥ 知ってか知らずか 俺と満島をくっつけ様とした。 今思えば‥ 皆川と2人っきりに なりたかっただけなのだが‥ しかし‥ おかげで今‥ こうして俺の隣に 満島がいる‥。
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