試練‥

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「ミポりんっ!!真理はっ!!?」 「殿‥ゴメンナサイ‥ 私が‥ついてたのに‥」 ミポりんは 申し訳無さそうに 小さくなった。 「んな事ど~だっていいっ!! 真理は!?真理は無事なのか!?」 「えぇ‥診察中に気を失って‥今‥病室に運ばれて 眠ってるわ‥」 「そうか‥」 とりあえず‥ 真理が無事なら良かった‥ 「都築さん‥ お待ちしてました。 どうぞこちらへ‥」 俺は凄腕と呼ばれる女医に 呼ばれた‥ 俺は丸いクルクル回る椅子に 座らされた。 「ハッキリ申し上げます‥ 奥様は切迫流産です。 しかもお腹の子の心拍は かなり弱っています。 このまま流産する 可能性が高いでしょう。」 ハッキリ言い過ぎだ‥ 頭が‥ついていかない。 「真理の‥腹の中で‥ 心臓が‥止まる。って事か?」 「そういう事です‥」 そういう事って‥ 「ざけんなっ!! テメぇ凄腕の医者なんだろっ!!何とかしろよっ!! 医者だろがっ!!」 「落ち着いて下さいっ!!」 落ち着いて‥られるかよ‥ ど~したって‥無理だろ? 俺はワナワナ震える体に 力を入れた。 それでも震えは 止まらなかった。 「医者にもど~しようも デキない事があります。 それが‥生と死です。 奥様の様な早期流産は ほぼ母体とは関係無く 赤ちゃん側に原因があるのが 殆どです。 生まれようとする命も‥ 終わろうとする命も‥ 医者には踏み込めない 領域があります。 だから‥ ひとつの命が 誕生すると言う事は‥ それだけで奇跡の塊の様な モノなんです‥」 奇跡の塊‥ 「んな事‥解ってるよっ!! ピーナッツちゃんが‥ 真理の腹の中に 来てくれただけで 奇跡だって解ってるよっ!! お話した事だって‥ 一緒に笑った事だって‥ 奇跡だと思ってるよっ!! 解ってるから‥ 解ってるから‥頼むから‥ 奇跡を奇跡で終わらせるなよ‥その続きを‥ 現実を生きてくれよ‥」 俺は‥とうとう 震える体を止める事は 出来なかった。 止めるどころか‥ 涙までもが止まらなかった。 すると‥ “おっ父‥おっ父‥ これが最後だよ‥おっ父‥” ピーナッツちゃんの‥ 最後の声が‥ 聞こえた‥ 奇跡はまだ‥ 続いていた‥
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