試練‥

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「‥残念ですが 心拍が確認出来ません。」 女医は冷たい様だが しっかりした口調で言った。 「‥‥ウソょ。 ちゃんと‥ちゃんと 見て下さいっ!! そんなハズ無いっ!! さっきまで‥ 動いてたのよっ!!」 俺は‥ カーテン越しに 真理の声を聞いていた。 心臓を焼かれてるみたいに‥ 痛かった‥ 「残念ですが‥ 何度見ても心拍はありません。都築さん‥‥ 残念だけど‥流産は‥ 10人~6人に1人は‥」 「そんな‥ 珍しい事じゃ無いって 言いたいの‥? そんな言い方しないでっ!! 私も‥KIYOも‥ 初めての事なのっ!! 何で‥何で? みんな産んでるじゃないっ!! 何が珍しく無いよっ!!! 何で私達なのよっ!! 何で‥何でよ‥ 何とか言いなさいよっ!!」 「真理っ!!!!!」 俺は‥もう耐えられなかった。カーテンを突っ切り ワアワアと泣きじゃくる 真理を抱き締めた。 「真理‥俺達じゃなきゃ‥ ダメなんだよ‥ ピーナッツちゃんは‥ 俺達だから‥ 俺達を選んで来てくれたんだ」 「イヤぁ~~~っ!!!!!! 赤ちゃんを返してーーっ!!! 私とKIYOの赤ちゃんを 返してーーっ!!!!!」 今の真理には‥ 何を言っても届かない。 俺は‥ ただ‥抱き締める事しか デキないのか‥? 俺の時みたいに‥ ピーナッツちゃんが 真理に話かけてくれる事は 無いのか‥? それは‥ 無いな。 俺が‥ ピーナッツちゃんの力を 借りたから‥ 真理まで ピーナッツちゃんの力を 借りたら‥ 俺達はヘリコプターにでも 乗って乗り越えた事になる。 乗り越えたとは言わないか‥ 飛び越えたらいかんよな‥ 素手で乗り越えねーとな‥ 俺は真理の はしごってとこか‥ まずは‥真理に はしごの存在に 気付いてもらう事か‥ そして‥はしごを 手に取ってもらわないと‥ 「イヤぁ~~っ!! ピーナッツちゃんを 返してーーっ!!」 真理‥俺は‥ここにいる。 俺は‥ここにいる。 そうつぶやいて 真理を抱き締めた。 今は届かなくても‥ きっと届くはずだ。 俺の声は‥ 必ず真理に届く‥ 真理が言ったんだ。 “ピーナッツちゃんの声は みんなに届くんだよ。 おっ父にそっくりね‥” って‥ 真理が言ったんだから‥。
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