試練‥

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「真理‥大丈夫‥?」 「ぅ‥ぅん。大丈夫‥」 退院して5日目‥ 私は‥ 病院の待合室にいた。 ついこの間まで 私はこの待合室で‥ 希望と夢を膨らませていた。 待合室にいてるお腹の大きな 先輩妊婦さんを見ては‥ 私のお腹も大きくなるんだと 思っていた。 私のお腹は‥ もう大きくなる事は無い。 母さんに‥ 大丈夫と言ったものの‥ やはり妊婦さんを見るのは つらかった。 流産後の検診を‥ 妊婦さんの定期検診と 同じ時間に しないで欲しかった‥ あの時は‥ そんな事思ってなかったけど もしかしたら‥ 私が期待に胸を弾ませて ニコニコしてる横で‥ 今の私みたいな人が いたかも知れない。 それくらい‥ 珍しい事じゃ無いって事は 散々聞かされた。 そんなの‥ 受け入れられなかったけど‥ KIYOに言われて‥ 少し変わった。 私は‥ 自分のカラダを恨んだ。 あの子を死なせたのは私だ‥ あんなに楽しみにしてた KIYOを‥ 喜んでくれた母を‥ みんなの期待を‥裏切った。 どんなに謝っても‥ 許されない。 何よりも‥ 私が‥許せなかった。 オムツのCMも 見てるのがツラくて‥ せっせと集めた ベビー用品も‥ もう用無しで‥ KIYOに抱き締められる 資格も無いと思った。 KIYOは‥ 私の前で泣いたり‥ ツライ素振りは 一切見せなかった。 それが‥余計につらかった。 私のせいなのに‥ KIYOは‥ 私を抱き締めた。 KIYOがどれほど ピーナッツちゃんを 愛していたか‥ どれほど ピーナッツちゃんと 会える日を 楽しみにしていたか‥ 私が一番良く知っている。 KIYOがパパになった日‥ どれだけ喜んだか‥ それを全部‥ 私が台無しにした。 そんな私を‥ KIYOは‥抱き締めた。 仕事も行かずに‥ 私が病院に運ばれた日から‥ 退院した日まで‥ ずっと私のそばにいて‥ 抱き締めてくれていた。 私は‥ あの子を失った事だけを 悲しみ‥悔やみ‥後悔して‥ あの子が‥ ピーナッツちゃんが‥ やって来てくれた意味を‥ 考えようともしなかった。 KIYOに言われるまでは‥
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