禁じられた恋‥

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母ちゃんとの約束は 守っていた。 学校には 毎日行った。 正確には‥ 学校の屋上に 毎日行っていた。のだが‥ 屋上には 3年の人達がいて‥ 俺はやっぱり 因縁を付けられたのだが‥ 何回か殴り合っていたら‥ 仲良くなった。 ジュースをくれたり‥ タバコを勧められたりした‥ ジュースは有り難く 頂戴したが タバコは丁重にお断りした。 昔から‥ 母ちゃんや母ちゃんの男が プカプカしてるのが イヤだった。 すると‥ 3年の人達は 変わった遊びをしていた。 火のついたタバコを 手に押し当てていた。 根性焼き。と言うらしい。 こんな事‥ 自分でする人いるんだ‥ と思った。 「新太‥お前もやってみ。」 「何で?」 「何で。って‥ 根性見せてみろよっ。」 それ‥根性って言うのか? それが根性なら‥ 俺はド根性男だよ‥ こんなとこで 君達と話してないよ‥ 満島から逃げたり してねーよ‥ 俺はシャツの袖を捲り上げた。 「お前‥コレ‥」 3年生は声を失った。 見せろって言うから 見せたのに‥ 俺の腕には 昔付けられた 根性が3つ。 母ちゃんにバレて‥ 男は追い出され 4つ目が出来る事は 無かったが 母ちゃんは火がついたみたいに俺に泣いて謝っていた‥ あの時は‥ 根性があった。って事か‥ 俺の根性‥ どこ行っちまったんだろ‥ 「新太‥お前‥ 苦労してんだな‥」 「お前スゲーよ!」 「ツラかったなぁ~新太‥」 3年生は‥ 実は‥情にもろい人だった。 でも‥ だいたいみんなコレと 同じ事言うんだけど‥ 満島は‥ 違った。 “消えないんだね‥ もう何年も経ってるのに‥ シンの心の傷も‥ 消えないんだよね‥ 私が‥ 上から塗り潰してあげる♪ 消えないかも知れないけど‥ それより濃い思い出で 塗り潰してあげる♪” そんな事を言われたのは‥ 初めてだった。 きっと‥ これからも‥ 満島だけだろう。 「新太‥ベイビーちゃん‥ 何かお迎え来てるぞ‥」 満島に‥お迎え‥? 3年生は満島の事を ベイビーちゃんと言う。 屋上から見下ろすと 満島はお嬢様が乗る様な 真っ黒のデカい車に 乗せられた‥ お兄ちゃんの車じゃない。 何じゃありゃ? つーか‥ 今まだ授業中だろ? 何かあった‥? 俺は‥ 満島の身に何があったのか‥ 居ても立っても いられなかった‥。
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