初恋です。

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「KIYO‥婚約しちゃったね~ どんな人だろねぇ~?」 俺の出番は終わったが 皆川とケンシローは “Moonscape”談議に 華を咲かせていた‥ 「ど~せ‥ 超美人なんだろなぁ~ いいよなぁ~‥ 選り取り見取りだろ~? どんな女でもOKだろ~? だっても~ 一生働かなくて いいんじゃね? このカラオケの印税だけでも 食ってけるだろ?」 「そ~だね~‥ KIYOは“Moonscape”の 作詞作曲だけじゃないもんね‥“Beep”もそ~だし‥ そりゃスゴイだろ~ね‥ どんな暮らしなんだろ~?」 そりゃぁ‥ 俺達庶民とは 全く正反対の 暮らしなんだろな‥ 「満島‥?どした‥? 気分悪い?」 さっきまで‥ あんなに幸せそうな顔を していたのに‥ 今は‥ 何故か‥青い瞳が 悲しみの色に見えた。 「ううん♪何でも無いよ♪ あっ!!私アレ歌うっ♪ シンとユリアと ケンシローの唄っ♪」 気のせいか‥? 満島はいつもの様に ニヘっと笑った‥ ♪♪~♪~♪♪~ You're shock‥!! シンとユリアと ケンシローの唄‥ 皆川とケンシローは ポカーンと 満島を見つめていた‥ 満島は‥ そんな2人をよそに 立ち上がって 大熱唱していた。 俺はまた‥ このギャップに やられてしまう。 彼女に触れたい。 と‥思う衝動と‥ そんな事出来るワケ無い! と‥思い留まる 小心者の俺。 初めての恋に‥ 俺は‥溺れている。 泳いだ事も無いのに‥ 突然 海に投げ出されたみたいに‥ 俺は‥ ジタバタしている。 前に進むどころか‥ どんどん深みにハマっていく。 誰も‥ 泳ぎ方を教えては くれなかった。 こんな恋がしたい。とか‥ こんな彼女が欲しいとか‥ そんな事‥ 一度も考えた事など 無かった。 愛だの‥恋だの‥ そんなモノは‥ 俺の母親が 嫌と言う程 教えてくれた。 愛だの‥恋だのは‥ 何のクソの役にも立たない。 と‥。 俺には 愛だの恋だのに 理想や幻想を抱かせてくれる お手本は‥無かった。 今になって思う。 もし‥ 違うお手本があったなら‥ もっと上手に この海を‥ 泳げたのだろうか‥と。
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