禁じられた恋‥

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「何をキョロキョロ ソワソワしてんだよ‥?」 清春君は既に 安眠枕をしっかり首に 装着して言った。 まだ‥飛行機に 乗ってないんだけど‥ 他の乗客は微笑んで 清春君を見ていた。 可愛いから‥許されるらしい。 しかし‥ 言う事が鋭い。 私は‥ KIYOがいつどこから 現れるのか‥ ソワソワしていた。 「お前。飛行機 乗った事無いんだろ‥?」 清春君は私の耳に コソッと囁いた。 若干安眠枕が私の首に 刺さったが‥ 「ぅん。初めて‥」 私はホントの事を言った。 「俺も。緊張すんな。 墜ちる時はみんな一緒だ♪」 頼りになる様な‥ 余計に不安になる様な‥ 「あっ!墜ちたら 真理が悲しむから 真理にメールしとこっ。」 清春君は携帯を カチカチしだした。 「マリ‥って清春君の彼女?」 「ん~‥彼女つ~か‥ 俺の女‥?」 何だ‥その大人顔負けの ドヤ顔は‥ しかも‥ ちょっとドキッとするし‥ 近頃の子どもはマセてる。 私‥完全に負けてる。 「でもさ‥俺達‥ 禁じられた恋なんだって。」 「禁じられた‥恋?」 小学生からこんな言葉が サラっと出るなんて‥ 「そ‥。 母ちゃんが言ってた。 真理は‥人妻だから‥」 「人妻っ!!!!?」 「ルイ。声が大きい。」 清春君の小さい手で 口を塞がれた‥ そうだ‥ 小学生の子が学校の先生に 恋心を抱くのはよくある事‥ 私は‥そう思っていた。 「最近さぁ‥ 真理にメールしても 全然返って来ねーんだよな。 ど~しちゃったんだろ‥真理。 俺が宿題しないから 怒ってんのかなぁ‥? 俺‥この飛行機墜ちても やっぱり死ねねーな‥ 真理の顔見るまでは‥」 言う事が大人なのか 子どもなのかわからない。 でも‥ 私は‥小学生の清春君が 羨ましく思った‥ 素直に愛情表現できる 清春君が‥ 私も‥まだ‥ 恋なのか愛なのかさえ わからないけど‥ もし‥今の私のドキドキが 恋や愛の部類なら‥ 私もまた‥ 禁じられた恋。に なるんだろうな‥ KIYOには‥ 奥さんがいるから‥ KIYOの奥さんって‥ どんな人なんだろう‥ 「清春。ルイ。行くぞ。」 社長が電話から帰って来た‥ 私と清春君は 社長の後に続いて搭乗した‥ KIYOは‥ まだ現れない。 私の胸は‥ 初めての飛行機と KIYOの事で 既に心臓がバクバクだった‥。
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